ながい間、手を入れさせていただいたデスクです。クラシックな表情から仕上げには、ぜひセラックを使わせて下さいと無理なお願いを、またSWANKY SYSTEMSさんに聞いていただきました。
正直、難しい塗装でした。やはり、溶剤がアルコールであるため乾燥速度、希釈の勘がなかなか摑めず、塗膜のレベリング、また、極端に水気を寄せるため、使う環境にも左右されるものでした。けれどその後にみせてくれる上がりは、やはり見事でした。確かにウレタン樹脂等万能なものはたくさんあります。利便性に長け、高硬度やUVカットの性質を持ったもの、家具をある状態で維持する為の技術は、日々進化しています。でも、私はそこに違和感を覚えます。先日、使ってみた櫨蝋もそうですが、セラックもカイガラムシの分泌する虫体被覆物を精製して得られる樹脂状の物質です。天然成分ですので、合成樹脂にはとても適わないのですが、なにかすばらしいのです。
私事ですが、先日建築家安藤忠雄先生のおはなしを聞いてとても、感動しております。そのはなされた内容に、仕事の運という内容がありました。そして、少し前になりますがSWANKY SYSTEMSさんの納品に立ち会わせていただきました。その時のお客様も仕事と運についておはなしをしてくださいました。また、うまく言葉にできない仕事を、理解して下さりとても温かい気持ちと勇気をいただきました。ありがとうございました。